第1章 帰る場所は
貴方が突然いなくなるのは、いつもの事なのかもしれない。昔と変わらず、よく妙な出来事に巻き込まれてしまうんだもの。態度には出さないけれど貴方は優しいから、困っている人を見捨てられない。昔と違って、どんなに辛くとも他人を背負い込めるほど貴方は強くなった。彼らを助ける為に、私を置いて行けるようになった。
私も嬉しい。貴方がまた他人と向き合えるようになって。護る事を恐れなくなった貴方ほど、心強い者はいないもの。だから急に居なくなっても、私は大丈夫。ちゃんと待ってるから。「一緒に連れて行って」なんて、絶対に言わないから。そんな事を言えば、足手纏いになるのも知ってる。新八君や神楽ちゃん、定晴のようには戦えないもの。だから私は、私に出来る事を精一杯するから。貴方がどんなにボロボロな姿で帰って来ても、笑顔で「おかえりなさい」を言うから。……例え戻った貴方の息が止まっていたとしても、ちゃんと、言うから。だから、お願い。私の我が侭だって、分かってる。でもどうか、どうか、最後には
わたしのもとへ、かえってきて……