第2章 若女将は中学生
「円堂くん、吹雪くん、遅いよ! 集合時刻はとっくに過ぎてるのよ?」
円堂と吹雪がイナズマキャラバンに戻ると、秋が腰に手を立てて怒って待っていた。
「悪ィ、悪ィ、ちょっと人助けしててさー」
「人助け?」
秋の隣に立っていた夏未は怪訝そうな顔をした。
「あァ、な! 吹雪!」
「うん! ちょっとおっちょこちょいな女の子を助けてたんだ」
「ふーん、そう」
夏未は少し不機嫌な様子でキャラバンの中へ入って行った。
「……あいつ……何怒ってんだ?」
「あはは、まあ、とりあえず中入ろうよ。これからホテルに行くんだって!」
「ホテル!? やったー! 温泉! 温泉!」
両手を挙げて喜んでいる円堂の横で吹雪は微笑みながら、さっきのことを考えていた。
(ホテルか……もしかしたら……あの子がいるのかな?)
ーーあのとても優しそうな、笑顔が可愛い女の子に。
「おーい、吹雪! 早く乗れよ!」
「あ、うん、キャプテン!」
吹雪はにこりと笑って、キャラバンに乗った。
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