第2章 若女将は中学生
「練習試合……」
香織は顎に手を当てて目を細めた。
「反復練習も大事だけど、試合をするのも大事だろ?」
「確かにそうだけど……」
円堂と秋が話している横で、香織は顎から手を離して円堂を見た。
「……ホテル街の近くに桜ヶ丘中学校という中学校がございます」
「桜ヶ丘中学校?」
「はい」
香織はにこりと笑った。
「そこの中学校にサッカー部がございます。噂では、とある理由で全国大会には出場できませんでしたが……なかなかの実力だと言われてますよ」
「へー!」
円堂は目をキラキラさせている。
「とある理由で全国大会に出場できなかったっていうのが気になるな……」
「そうだな」
向かい側で話を聞いていた鬼道と風丸が話をしている。
「よーし! 明日はその中学校に行って試合を申し込もうぜ!」
「おーう!」
円堂の掛け声で、雷門サッカー部の一同は拳を上に掲げた。
香織はお盆を持って部屋を後にしながら、その様子を見て口の端を上げた。
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