第13章 遺伝情報(クロロ/会話プレイ)
真っ白になった頭で 心にある素直な想いを口にする。
「はぁっはぁっ…クロロ、…好き」
「俺だって…好きか嫌いかと聞かれれば好きだ」
「私が……キキョウ姉さんの妹だから?」
「ああ」
「私がもし、…姉さんの妹じゃなかったら?」
探るようにクロロに自分の顔を寄せた。
繋がったままのソコが 少しの動きできゅうっと、切ない声をあげる。
クロロは遠くを見つめるような瞳を見せていた。
「お前が彼女の妹じゃなかったらそもそも俺達は出逢ってもいないだろう」
「…そっか」
「彼女に感謝するんだな」
クロロは私に唇を重ねる。
愛おしそうに、優しく、何度も。
残酷な事を言うくせに 大切そうに私に口付ける。
「じゃあ…私が死んだら…クロロは悲しい?」
「そうだな…、悲しい。…というより生きていても喪失感しかないかもな」
「え、…そんなに?」
「当たり前だろう」
クロロはもう一度私を強く抱き締めてくる。
「例えるなら…そうだな。子供が出来ない夫婦が犬を飼う、可愛がるだろ?その犬が死んだら深く悲しむよな、そんな感じか」
「私、…犬?」
「そう」
「姉さんが、…欲しくても出来ない子供?」
「ああ」
「……なら私って、よっぽど…大事な存在だね」
「まあな」
「今の例え良かった、わかりやすくて。…クロロのお話、好きだけど時々理解出来ないから」
「なら次は例え話を入れてたくさん話すか」
「うん」
姉さんを欲しくても出来ない子供に例えた。
それは事実上の失恋を意味する。
欲しくても手に入らないと諦めた上で、必死に足掻いて私という遺伝情報の近しい存在に 感情と欲をぶつける。
自分で気付いてないのか。
気付いていて知らないふりをしているのか。
案外 勝機は私にあるのかもしれない。
fin