第12章 *なら及川、お前が退け【岩泉一】ハイキュー!!*
「言ったら……泣いちゃうかもしれません……」
「そしたら俺が拭ってやる」
「私の事嫌いになるかも……」
「ならねぇよ」
キュッと唇を結ぶは既に涙を堪えてる様に見える。
俺がそっと頭をポンポンって叩いてやると……今はマズかったのか、ブワッと一気に瞳が潤んでしまって焦った。
そしていつ溢れ落ちるか分からない中で、は少しずつ心境を語り始める。
震える声で。
「私……先輩に付き合うかって言われて本当に嬉しかったです……。私も先輩の事凄く好きだから……」
「ああ」
「最初は幸せでした……本当です。初めて手を繋いだ時なんかドキドキして……」
「ああ」
「でも……それだけじゃ足りなくなっちゃったんですっ……。抱きしめて欲しい……キスして欲しい……私を抱いて欲しい……。魅力ないのかなって悩んで色々努力して……けどそれでも先輩は私の手を握るだけ…っ」
「……」
「練習で疲れてるんだからって言い聞かせて……私を送って帰って行く先輩の背中を掴みたくても掴めなくて…っ」
「……」
「凄く……寂しかった…っ」
「っ……」
なんでだ……。
寂しいと言っているのに……とうとう涙が溢れ落ちてしまったのに……
こいつは笑った。
そこまでして俺に心配かけさせたくないのだろう。
「でも大丈夫ですから」って言ってるように見える。
そんな……大丈夫なわけない。
だから泣いてるんだろ…?
こんなお前見たらジッとなんかしていられない。
俺はの腕を引いて思いっきり抱きしめた。
望む事全部やってやるから……
強がるな……。