第12章 *なら及川、お前が退け【岩泉一】ハイキュー!!*
岩泉side
練習中いつもいつもいつもいつもいつも体育館内には黄色い声援がこだまする。
それを全て集めているのは……あの及川だ。
奴が爽やかな笑顔を向けるだけで耳がおかしくなりそうな程の声が鳴り響く。
「調子に乗ってんじゃねぇ!」
「だって応えてあげないと可哀想じゃん。それに心配しなくても全員俺目当てだから、岩ちゃんは関係ないよっ」
「……」
1日何回こいつに対してイラつかなきゃならないんだ。
その度にボール投げつけたり頭突きしたり。
「ごめん岩ちゃん!」ってセリフも何回聞いただろう。
いい加減学習してほしい。
「でも最近になってより一層突っかかってくるね。何かあったの?」
「ア?何でもねぇよ」
「まあでも岩ちゃんじゃ難しいんじゃないかな〜」
「は?」
「だっていつも俺のファンの子達と一緒にいるじゃん!」
「!!」
頭の上に【ギクッ】という文字を浮かばせてしまった。
及川はよく見ている。
俺は……キャーキャー五月蝿い女達の中に混ざっている1人の女の事が気になっていた。
もうずっと前から。
混ざってるからって別に声は出してないようなんだ。
口開けてる所を見た事がないから。
もしかして及川目当てじゃねぇのか…?と思ったその日から……
俺は毎日名前も知らないそいつの事を目で探すようになっていた。