第2章 いせかいにようこそ
気がつくとわたしは知らない街で立ち呆けていた。
身につけているのは真っ白なワンピースだけ。鞄も何も持ってない。
ふと通りに目をやると、たくさんの人が忙しなく歩き去っていく。
赤い髪、青い髪、緑の髪、白い髪、金の髪。
人間、猫耳、尖った耳、狐耳、狼頭、鳥の翼。
みんなみんな変なの。
まるで、小さい頃ひとりでしてたアレみたいだ。
そういえばアレってなんだっけ。
ふわふわとした足取りで歩いてみる。
考えてもわかんないモノは仕方ない。
煉瓦造りの建物、煉瓦で舗装された道や運河。
遠くには大きな橋と更に大きなお城も見える。
王様とかが住んでるのかな。
あてもなく運河に沿って歩いていたらやがて同じ場所に着いてしまった。
もう一周してみようか、それとも賑わってる方に行ってみようか。
どうせやることもないしと、もう一周する事にして歩き出す。
「おやおや、ここらじゃ見ない顔だね!」
突然声が聞こえた。それも下の方から。
キョロキョロと辺りを見回すが、わたしの方を見ている者はいないようだ。
聞き間違いか、わたしに掛けられた言葉ではなかったのだろう。
そう思い再び歩きだそうとした。
「ちょっとちょっと、無視は良くないよ!キミに言ってるんだよ、白いワンピースのキミ!」
女の子の声、また下から。
下を見ても別に子供がいるわけでもなかった。
もしやと思い運河の方を見る。いた。
水色の肌に淡い青緑色の髪。耳の部分にはヒレのようなモノがついている。
「あ、やっとこっち見てくれた!」
嬉しそうに笑う少女、ピースした指には薄い皮膜(水掻きだろうか)がついている。
明らかに人間ではなさそうだけど、悪い奴でもないみたいだ。
『えーと、はじめまして?』
彼女は初めましてだね!と元気良く良いながら運河の縁に座った。わたしもそれにならい隣に座る。
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