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RICHIESTA

第1章 ひとばしらにようこそ


真っ白い布切れをまとい、真っ白い空間に立っていた。
目の前には少しふっくらとした女性が微笑みながら座っていた。

ここは何処で、彼女は、わたしはいったい誰なのだろうか。

「サキ。それが貴女の名前よ。……お帰りなさい。」

幼い少女のような声で、慈愛に満ちた聖母のような雰囲気で、彼女はそう囁いた。
サキ。噛みしめるように咀嚼するように教えてもらった名を反復する。

少しずつ情報をつなぎ合わせようと思考を巡らせる。
覚えているのは恐らく自分の死に際の出来事だ。

「貴女は、不慮の事故で運悪く生を終えた。そして、気紛れな神に選ばれたの。」

緩く巻かれた艶やかな髪を揺らしながら彼女はそう告げる。
神様。カミサマ。どうも胡散臭い。
生憎カミサマなんてモノを信仰するような性分ではなかった為か、腑に落ちない。

「神はある日、暇つぶしにとある世界を生み出した。酷く不完全で歪で美しい、未完成の世界を」

遮る必要もないので彼女に話の先を促し、黙って聞き入る。

まるで絵本の中にあるようなファンタジー色あふれる世界のこと。
暇つぶしの割には熱心に作りすぎ、そのほかの世界とのバランスが取れないままグラグラと揺れていること。
そのバランスを安定させる為、各世界から適当な生物を選び、力を与えて人柱としていること。

「というわけで、単刀直入にお訊きします。貴女は力を受け入れ、人柱として異世界で生きることを望みますか?」


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