第11章 嘘つき 家康
「紛らわしい事をしてすまない」
「…誤解、したじゃん」
携帯を握りしめて、暑い直射日光の下、家康に思い切り抱き付いた。
「悲しい思いをさせてしまった、よな」
「ほんっと、やめてよ…死ぬかと思った」
これは不器用な家康なりの伝え方、そう思えばも微笑ましく思えた。先程までの腹立たしさは何処へ行ってしまったのかというほど晴れやかな気分だ。
「…ちゃんと聞かせてほしいって言ったら怒る?」
「まっまさか!」
焦ったように目を見開き首を横に振った。
は家康から体を離し、微笑む。
「…」
咳払いをし、暑さで赤くなった頬をもっと赤くさせ、言う。
「…好き、だ」
だがは首をかしげる。
まるで先程の仕返しと言わんばかりの楽しそうな笑顔で、だ。
「え?わかんない」
「、か、勘弁してくれ!」
「…え、なに?」
にはかなわないな、と言った苦笑いで、家康はもう一度大きな声で、に届く様に言った。
「世界で一番、が好きだ!」
「勿論、私もですよ」
後日この告白方法が校内に広がり、家康は暫くいじられ続けたという。
END