第9章 別々の道
翌日。
学校に来たものの、ちっとも授業に集中できない。
昼休みになって、いつものグループでランチをするけど、ついボーッとしてしまう…。
どうしよう…。
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帰り道、実くんに声をかけられハッと驚く。
「美月、今日どうした?
何か悩みでもあんの?」
実くんに相談、してみようかな…。
二人でカフェに入る。
ゆったりしたソファーの店で、隣の会話なんて気にならなさそう。
「実くん、『スクールエッチ』知ってる?」
まさか知らないよね、と思いながら一応聞いてみる。
「えっ…あ、あぁ、お前の作品だよな。
えっと、まぁ、知ってる…」
ちょっと照れてる?
でも、知ってくれてるなんて嬉しいな。
私は少し気持ちがほぐれて、実くんに番外編のオファーのことを話す。
「そっかー!いいじゃん!
でも、何で悩んでんの?
その、なんつーか、あっち系の作品だから?」
皆そう思うのか…と苦笑しながら、私は実くんに言う。
「だって…最近エッチしてないし、ゆきなを演じられる自信ないよ…」
あ…何てこと言っちゃったんだろ…。
何か変な意味にとられそうだよね。
慌てて言い繕おうとするけど、その前に実くんに手を握られる。
「俺、実は、あの作品、DVDも持ってる。
お前のファンなんだよ。
俺でよかったら、付き合うから!
お前にもう一回、ゆきなを演じてほしい!」
…あ、完全に勘違いしてるよね…。