第9章 別々の道
入学式。
トントン。
肩を叩かれた。
「はい?」
振り返ると、知らない男の子。
「お前、月島美月?」
「そうだけど…何?」
いきなりフルネームで読んでくるなんて、誰なんだろ、この人。
「小学校で同じクラスだった、実重
覚えてない??」
さねしげ…?さねしげみのる?
あぁっ!
昔私に、ブスだけど声だけはいいって言ったヤツじゃない!
「覚えてるよ。実くんでしょ?
私、実くんのおかげで、ここにいるんだよ」
実くんは、怪訝な顔だ。
「どういうこと?」
「それでは、声優学科の人こちらへ、アニメーション学科の人はあちらへ集まってください」
実くんが立ち上がる。
「話はまた今度な!
俺、アニメーション学科だから。
ヨロシク!」
ユウトみたいないイケメンじゃないけど、笑うと八重歯が可愛い。
そんな実くんに、昔好きだったことを思い出してドキドキしてしまう。
これからの学校生活、ちょっと楽しみかも…。