第19章 旅行
「子どもたちの夢、壊しちゃだめだもんね」って30分間トイレに籠ろうとするユウトを引っ張って、スタッフに声をかける。
バイトらしき若い女の子は、仮面レンジャーはよくわからないみたいだったけど、ユウトの困った顔に目をハートにして、上司に掛け合ってくれた。
おかげで今、私たちは舞台裏で待たせてもらってる。
舞台では派手な効果音と激しい音楽が流れ、
仮面レンジャーが悪者と戦っている。
そしてその音楽すら打ち消すような子どもたちの「仮面レンジャーがんばれ!!」という声が絶え間なく聞こえていた。
「俺たちの仕事、いいね」
二人で顔を見合わせて微笑みあう。
今日は子どもたちから、たくさんの元気と、やる気をもらった。
「俺、これからも俳優続けていきたい。
美月ちゃんと一緒に、真面目に夢に向き合っていたい」
「私も。大変なこと、いっぱいあると思うけどユウトのこと応援するし、私も頑張るね」
ここに来てよかった……。