第19章 旅行
窓の前からベッドの横を通ってきたユウトは、椅子に座って化粧をはじめようとしている私の顔を上目遣いで覗きこむ。
申し訳なさそうな目が色っぽく光って、乾いた唇が私の唇を塞いだ……。
「んっ……」
爽やかな香水の匂いと、男の人の匂いが混ざって私はクラクラする。
唇が一旦離れて、キスの角度が変わる。
ユウトの右手が肩に、左手が膝下に差しこまれて身体が宙に浮いた……。
いわゆるお姫さま抱っこで、壊れ物を扱うみたいにベッドに降ろされる。
「美月ちゃん。
大好きだよ……」
上から覆い被さったユウトが耳元で囁いて、舌を耳たぶに這わせる……。
「あぁっ……あぁんっ……」
だめ……。理性、ふっ飛んじゃう……。
ユウトの冷たい手が、服の中に滑り込んできて、肌を直接撫でた。
「ひぁっ……!」
ブラのホックを探して忙しく動き続ける手と、時折しか呼吸を許してくれないキスに、私の意識は飛んでしまいそう……。
「はぁっ……あぁんっ……」
もう……だめ……。
このまま全てを任せてしまいそうになった時、ユウトの肩越しに『9:10』と表情されたデジタル時計が目に飛び込んできた。
んっ……9じ……10ぷん……?
9時10分!!