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第9章 よかった、間に合った


授業を残した学校を勝手に出て、帰り道を歩く。

いい天気。気持ちいい。

私は一人だけど自由だ。何をしようかな。

街へ行こうか。

制服だとヤバイかな?

まあいいや。

とりあえず、ここから離れよう。

学校から離れよう。

駅に着くと、ホームにすぐ電車が入ってくる。

幸先がいい。

私は電車に乗り込む。

平日の午前中だから空いてるけど、まばらに人は座ってる。

どこに座ろうかな…。

私が立って考えてると、電車の扉が閉まる瞬間飛び乗ってきた人に腕をつかまれた。

「ひっ!」

超ビックリした私は小さく変な悲鳴をあげて、おそるおそるその人のほうを見る。

「へっ? 藍田くん!?」

「はぁはぁはぁ…よかった…。間に合った…」

藍田くんは息を切らしながらつぶやく。

「なっなっなっなっ…なんでっ!」

私は混乱する。

彼はそんな私の顔を見て、少し微笑む。

そして、その場で私を抱き寄せる。ぎゅうっと。

私はさらに混乱する。

えと…ここ電車…人いる…なんでここに藍田くん…なんで…

「みなみは一人じゃない」

耳元で彼の声。

「…え?」

「みなみは一人じゃないよ。僕はずっと味方だから。今までも、これからも…ずっと…」

私の胸の奥が痛くなる。

すごくすごく痛い。

涙がブワッとあふれる。

「僕がいるから…。僕がいるよ」

私は彼の胸に顔をうずめる。

そして、彼の背中をぎゅっとする。

そして泣いた。

すごくすごく泣いた。


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