• テキストサイズ

僕の小説のモデルになってください

第1章 初恋


その日からときどきメッセで話すようにもなった。

そんなたいした話はしない。

宿題やった?
とか
部活疲れた〜
とか
新発売のアイス美味しい
とか

でもそんなことでも、私は学校外でも彼と繋がってるんだと思うと、震えるぐらい嬉しい。

彼はどんな気持ちなんだろう。

わざわざアドレスを教えてくれたんだから、少なくとも私のこと嫌いではないと思ってもいいのかなぁ。

少なくとも私は彼と友達にはなれたと思っていいのかなぁ。

でももっと。

もっと親密になりたいと思う。

私って欲張りなんだ。

……

体育祭は無事に終わった。

私もこの日まで気持ちをおさえることに無事成功した。

体育祭が終わったら、私は彼に気持ちを伝えようって決めてたんだ。

体育祭の後片付けをする。

クラスの人がいっぱい手伝ってくれて意外と二人きりになれない。

でも嬉しい。

私たちが頑張ったイベントでクラスのみんなの距離がちょっと近付いたのかなって感じられる。

「実行委員会に用事あるんだけど、鈴原さん一緒に行ってくれない?」

クラスの女子とワイワイしゃべりながら掃除をしていた私に、藍田くんが声をかける。

「うん」

私は頷いて、彼についていく。

ちゃんと終わってホッとしたね、とか話しながら彼と歩く。

そして用事が終わって二人で教室に向かう。

ちょっとひと気が少ない所で、私は立ち止まり、彼を呼び止める。

「藍田くん…。ちょっと待って。わたし、話があるの」

彼は振り向いて優しく美しく微笑む。

「わたし…藍田くんのことが好き。付き合ってください」

私は思い切って告白する。

彼は優しく美しく微笑んだまま口を開く。

「ありがとう。すごく嬉しいんだけど、君の気持ちに答えることは出来ない。
僕、好きな人がいるんだ」

……

その日のその後のことは正直あまり覚えてない。

でもちゃんと教室に戻って、掃除仕上げて、クラスの女子と一緒に帰ったはず。

でも本当に、覚えてない。



/ 85ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp