第8章 えっと、ごめん
放課後、ちょっとビクビクしながら部室に向かう。
部室の前で、アヤと数人の1年女子がいる。
「荷物取りに来たの? みなみ。私がまとめておいてあげたよ。優しいから」
アヤが私に私のスポーツバッグを投げつける。
周りの女子がクスクス笑う。
「…なんで? わたし、部活休む予定ないよ?」
私はなんとか反論する。
「ちょっと話しようか。あっちで」
アヤが言う。
私たちは体育館裏へ行く。
「昨日のさぁ、ボウリング。あんた先に約束があるから来ないとか言ってたけど、それって川口くんとデートだったんでしょ?」
アヤが私に尋ねる。
「ち…違うよ?」
私は同じ1年の女子とはいえ数人に囲まれて、ちょっとビビりながら返事する。
「嘘ばっかり! あんたは嘘ばっかりだよね。昨日、あんたが川口くんと帰ってたの見た人がいるんだよ」
「たまたま、道で会って…。駅まで一緒に歩いただけだよ。駅で別れたもん…」
「あんたの言うことなんて、何も信用できないよ」
アヤが吐き捨てるように言う。
なんで…。
「私のこと笑ってたんでしょ? 相談するフリして…頑張って…とか言って…。川口くんは自分のこと好きだってわかってたくせに」
それは、2学期の話だもん…。
「ていうか、知らなかったのは私だけ…。男バスの子はみんな知ってた。川口くんがあんたのこと好きだって。
だから、あんたらがボウリングに来ないって、デートでもしてるんじゃないかって男子は噂してたけど…本当だったなんてね」
そっか…。
「だから、目障りだから、もう部活に来ないで。あんたみたいな嘘つきの男好きがいたら風紀が乱れてチームワークが乱れるの」
彼女たちは去って行った。
私はスポーツバッグを抱きしめて、しばらくその場で立ちつくした。