第6章 そんなことが嬉しいの?
冬休み。
藍田くんとデートに出掛ける。
映画を見た後は、クリスマスっぽい雰囲気の街をブラブラ。まじデート。
「みなみに何かクリスマスプレゼントをあげたいんだけど何がいい?
本当はサプライズ的にプレゼントするとかいいんだろうけど、何がいいのかさっぱり思いつかなくてね…」
彼が言う。
えーどうしよう。
やっぱ指輪?
まだ早いか…
ていうか…
「プレゼントとかいいよ。だって…」
私はちょっと口ごもる。
「だって?」
彼が優しく聞き返す。
「んーいい子じゃないから」
「えっ?」
「いい子じゃないからサンタさん来ないの」
私は答える。
彼は優しく笑う。
そして私の頭を一瞬なでなでする。
「みなみはいい子だよ」
…
結局、シャーペンを買ってもらった。
彼も同じのを買った。お揃いなの。
「こんなのでいいの? もっといいもの買ってあげるのに」
彼は言った。
「これがいいの。勉強出来るようになる気がするし」
私は答える。
私の期末テストの結果は割とよかった。
藍田くんに教えてもらったからかな。
「藍田くん、これ絶対学校で使ってね」
「うん。使うけど…どうして?」
「だって嬉しいもん。わたしたちこんなに仲良しなのクラスの人誰も知らないのに、お揃いのシャーペン持ってるんだよ?」
「そんなことが嬉しいの?」
彼がちょっと笑う。
「うん。すごく嬉しいよ。どう? 小説の参考になる?」
「うん。僕にはそういうの絶対思いつかなかったよ」
私も微笑み返す。