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僕の小説のモデルになってください

第5章 君は賢いね


彼は床に置いた折りたたみ机で勉強してる。

私は座ってる彼に背中を合わせて、もたれて座ってる。

「みなみも少しは勉強したら? せっかく部活が休みなんだし」

机に向かったまま、彼が言う。

「してるよ。だって今、教科書読んでる」

彼の背中にもたれたまま、私は答える。

「その程度の勉強で赤点取らないなら、きちんと勉強したら結構いい線いくんじゃないかい? みなみ」

彼は少しあきれた様子で私に言う。

「バカな女は嫌い?」

私は振り返って、彼の顔を覗き込む。

「好きだよ」

彼は机に向かったまま笑う。

私は自分の背中から、彼の体温を感じる。

少しでも、少しでいいから彼と繋がっていたい。彼に触れていたい。

私は体育座りで膝を抱える。

向こうに誰もいないからいいけど、パンツ丸見えだね。

……。

なんか1回あんなふうにキスしちゃったら、彼といても変に緊張しなくてすむようになった気がする。

こんなふうにくっついて、気軽におしゃべりして…たまにキスして。

それって結構楽しいんじゃないかな。

例え、彼が私のことを好きじゃなくても。

藍田くんも、たいした問題じゃないって言ってたし。

私もそんな気がしてきた。

「ねぇみなみ。今どんなこと考えているの?」

一段落したのか、疲れたのか、彼がシャーペンを置いて、私に話しかける。

「んー…青春ぽいこと…かな」

「聞きたいなぁ…教えて?」

んー…どうしようかなぁ。

「あのね…わたしも藍田くんに聞きたいことあるの」

「何?」

彼は身体を半分こっちに向けて、私の顔を見る。

「藍田くん、どんな小説書いてるの?」

「えっとね…笑顔が可愛いリア充そのものなバスケ部の女の子が、暗い目をした孤独な少年と恋に落ちる物語だよ。読みたい?」

「ううん。結末だけ教えて?」

「さぁ…結末は僕にもわからないんだ。まだ」

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