第11章 彼の過去
裏山に着くと、カイが花を摘んでいた。
「ユイカ、一人か。
朝からどうした?」
「あのね、昨日の事なんだけど、
ごめんなさい。好きな人がいるの」
下を向きながら、カイが言う。
「そう言われる気がしてた。あの執事か?」
気付いてたの・・・?
「どうして?」
「あいつの目見てたらわかる。いつもお前を見てるから。
それに、これ、昨日つけられたんだろ」
え・・?
指差された先を見ると、胸元に唇の跡が。
「あっ・・いつもは見えるとこにはつけないのに」
思わず言ってしまうと、カイが苦笑する。
「いつもは・・ね」