第4章 求食
アヤト君の家へ居候しだして約1ヶ月、
「お前、そろそろ喰わねーとヤベェんじゃねーの?」
唐突にそう聞かれた私はギクリとした
「何を?」なんて聞かなくても分かる、“人間の肉”のことだ
「ううん、まだ大丈夫だよ…」
少しぎこちなく応えると、アヤト君は怪訝そうな目で私を見る
「テメェ、俺に嘘吐いてんじゃねぇよ…」
アヤト君の怒気を含んだ低い声に、思わずビクッと肩が揺れた
確かに、最後の食事(といっても無意識のうちの共喰いだけど)から3週間以上は経っている
前に読んだ、ゴミ捨て場で拾った本によると、喰種は一度の摂食で数週間の活動ができるらしい
だから、そろそろ“飢え”が襲ってくる頃だった
(だけど、人間の肉を喰べるなんて……っ)
それしか喰べられないのに、こう思ってしまう私は、やっぱり人間でも喰種でもない半端モノなんだなと実感する
ギュッと目を瞑り、俯きながら「っ…、まだ大丈夫だから…」と、か細い声で呟いた