• テキストサイズ

蜘蛛の共喰い【東京喰種】

第4章 求食





アヤト君の家へ居候しだして約1ヶ月、

「お前、そろそろ喰わねーとヤベェんじゃねーの?」

唐突にそう聞かれた私はギクリとした



「何を?」なんて聞かなくても分かる、“人間の肉”のことだ



「ううん、まだ大丈夫だよ…」

少しぎこちなく応えると、アヤト君は怪訝そうな目で私を見る



「テメェ、俺に嘘吐いてんじゃねぇよ…」

アヤト君の怒気を含んだ低い声に、思わずビクッと肩が揺れた




確かに、最後の食事(といっても無意識のうちの共喰いだけど)から3週間以上は経っている

前に読んだ、ゴミ捨て場で拾った本によると、喰種は一度の摂食で数週間の活動ができるらしい

だから、そろそろ“飢え”が襲ってくる頃だった



(だけど、人間の肉を喰べるなんて……っ)

それしか喰べられないのに、こう思ってしまう私は、やっぱり人間でも喰種でもない半端モノなんだなと実感する




ギュッと目を瞑り、俯きながら「っ…、まだ大丈夫だから…」と、か細い声で呟いた



/ 55ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp