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黒執事 Blood and a doll

第17章 幻想



 賑やかな会場内、そこでひそひそ話を続ける二人の姿。アリスの声に、ソーマが「しーっ」と合図する。


「何処で聞かれているかわからない、内密に頼む」

「……悪戯を仕掛ける子供のようね」

「セバスチャン、とある噂で聞いたんだが今日が誕生日らしい」

「へぇ……」


 そもそも、悪魔に誕生日などあるのか?


 アリスの傍にも、クライヴという悪魔が一人いる。だが、今までの思い出や過去を振り返った時、一度もクライヴから誕生日を聞いたことはないし本人が申し出た記憶がなかった。アリスが聞かなかったから、それはあるかもしれない。

 しかし、アリスの中では"悪魔に誕生日はない"というものがあった。きっとそれは、クライヴやセバスチャンの正確な誕生日を知らないからだ。


「本人に確認はしたのかしら? 本当に今日が誕生日だと」
「当たり前だろ! そうでなきゃ、こんなことを思いついたりしないね」
「ハロウィンが誕生日だなんて、洒落てるわね」
「だろ!? パーティーに便乗して、アグニに誕生日ケーキを用意させる。それを渡すまでの間、アリスにはセバスチャンを誘導しておいてほしい」
「というと……?」


 ソーマの作戦はこうだ。アリスが暫くの間、セバスチャンを引き留め会場に入らないようにする。つまりは時間稼ぎ。その間に、アグニがケーキを作り会場内に巨大誕生日ケーキを運び込む。そして、何かしらの合図を目印にセバスチャンを会場へと入れる。

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