第96章 整理の後の整理
「まぁ、俺もそっちの自分に関しては、
あんまり信じたくない事実があるけどね……」
「なんのこと?」
「……ハンジさんと、色々あったってこと。」
「ああ、範司に掘られてたことか。」
「その言い方は止めて欲しい……」
どうしても懇願するような
口調になってしまうと、
凛の吹き出した息が頬を掠めた。
「こっちのハンジさんは女性だけど、
それでも絶対そういう関係には
ならない自信があるからな……」
「それは分かんないよ。
色々な事柄が積み重なって、
感情に変化が芽生えたら、
これから先、そうなる可能性だってあるし。」
「……ならないよ。」
少し想像してみようとするが、
どうしても想像に難しく、
すぐに考えを中断した。
「でも傍から見てる側からいうと、
ハンジとモブリットが実は恋人同士だった
って言われても、
そんなに違和感はないけど。」
「ある!違和感はある!!」
「……傍から見てる側の意見を
端から聞いていないな。」
「……そんなこと言って、
凛は嫉妬してるだけだろう?」
試しにそう問いかけてみる。
「するよ。
あんなにいっつも一緒に居るのに。」
相変わらずの即答具合に、
ついニヤついてしまうが、
訝しげな凛の視線を浴びて、
意図して顔を強張らせた。