第96章 整理の後の整理
部屋に入るなり、
モブリットは横目で凛の表情を窺う。
「……凛。結構目撃されたけど、平気?」
「何の話?」
「コレ。」
繋がったままの手を軽く挙げてみると、
凛の頬は緩んだ。
「そうだ。繋いだままだった。」
凛はわざとらしく
驚いたような表情を見せる。
「……いや、絶対気付いてただろう?」
「大丈夫。もう噂になってるんだし。」
「そうだけど……」
「モブリットは嫌?」
「嫌じゃないよ。……ただ、団長と兵長が」
「大丈夫。
あの二人と噂になる方が問題でしょ?」
「まぁ、そうだろうね……」
発言を遮られるが、
その言葉には強く納得する。
確かに自分と噂になるくらいの方が、
凛は安全だ。
俺が凛に好意を寄せる誰からか
恨まれることになっても、特に問題はない。
だが、凛が団長や兵長の熱烈なファンから
何かしらの行動を起こされるのは怖い。
あの二人に近付きたくて調査兵団に入るような、
命知らずの子も、意外とこの兵団にはいた。