第89章 互いの暴露は突然に
「……凛の匂いは、消したくないんだ。」
そう言った途端、少しの沈黙が漂う。
……やっぱり引かれたか?
この間からしきりに告白し続けているし、
そろそろ鬱陶しくなったとしても
おかしくない。
自分でも自分がこんなにしつこい男だと
思ってなかった。
だけどここまで言ってしまったら、
もう最後まで話してスッキリしてしまいたい。
自己満足の為だけに、再び口を開く。
「凛の匂いも、抱きしめた時の感触も、
ずっと自分の中に留めておきたい。
その感覚を自分から簡単に
手放したくないんだよ……」
さっきと変わらず何の反応もなく、
不意に視線を凛に落とすと、
真っ赤に染まった耳元が目に留まった。
「何で凛が赤くなってるの?」
「……いや、赤くならない方が無理でしょ……」
「こんな恥ずかしい話だったのに?」
「恥ずかしくないよ!嬉しいし、」
そこまで言って言葉を止められ、
思わず顔を覗き込む。
「嬉しいし?」
続きを促すように頬に触れると、
熱い体温が指先に伝わった。