第89章 互いの暴露は突然に
モブリットからの
熱い抱擁を全身で感じていると、
やり場のなかった不安が、
安心感に変わっていくような気がした。
それ程までに、
モブリットの体温は心地いい。
モブリットの胸元に顔を埋め、
久し振りの匂いを心行くまま味わう。
すんすんと鼻をならしながら
モブリットの匂いを堪能していると、
小さく吹き出したモブリットが、
少し身体から離れた。
「匂い、嗅ぎ過ぎだからね。」
「久し振りだもん。嗅がせて。」
当たり前の様に言い放つと、
モブリットの頬はますます緩む。
「いや、それはいいんだけど……」
「いいんだけど?」
「“性欲の抑えが利かなくなってる”って割に、
今結構いつも通りな感じするけどね。」
モブリットに言われて気付いた。
確かにそうだ。
いつもは触れただけで
簡単に欲情していたのに、今は性欲よりも、
久しぶりのモブリットを存分に感じることに
必死だった。