第85章 媚薬の副作用
「……なるほど。
それで凛はまだ、気を失ったまま、
ということか。」
「俺のミスだ。
凛には本当に申し訳ないことをした……」
「とりあえず、打たれた薬が
何なのか調べる必要があるな。」
「いや、その必要はない。
ナイルに心当たりがあるようだったから
聞いてきた。」
……エルヴィンとリヴァイの声がする。
まだハッキリとしない意識の中、
目の前に見えた団服を掴んだ。
「凛。目が覚めたか。」
「……ああ、うん。ここどこ?」
身体を起こそうとするが、全身が怠く、
起き上がれそうにない。
「君の部屋だよ。
まだ意識も感覚も戻りきってないんだろう。
無理せず横になっていなさい。」
「……私どうやってここまで帰って来たの?
リヴァイ、まだ怪我完治してないのに、」
「俺が馬車を呼んだ。
そんなことは気にしなくていい。」
リヴァイの手のひらが、
額を優しく撫でる。
心地良い、その感覚は
しっかり感じることが出来た。