第80章 前を見て歩いてゆく
「……ハンジの言う通りだよ。」
「え?」
「優勢とか、そういうのはよく分かんないけど、
こうやって好きでいてくれてること
伝えてくれて、揺らがない筈ないじゃん……」
「……団長や兵長と肩並べられたかな?」
「もうとっくに並べられてるよ。」
まさかの即答に、思わず嬉しさが込み上げ、
ますます強く凛を抱きしめた。
「……ごめん。
思わせぶりな事言いまくってる……
まだ何か決まった訳でもないのに……」
「謝ることじゃないよ。
むしろ嬉しいからね。
思わせぶりな言葉も態度も。」
「……ほんと私のダメな女感が
半端じゃないね。」
胸の中で長いため息を吐いた凛を少し離すと、
寂しげに下を向いた睫毛が視線に留まった。
不意に睫毛にキスを落とす。
すると凛の視線はそっとこっちを向き、
必然的に上目遣いになったその表情が
堪らなくなって、今度は唇を静かに重ねた。