第80章 前を見て歩いてゆく
「凛、ごめんな……
分隊長、あんな感じでこれから色々
弄られそうなんだけど……」
部屋に入ってすぐ、
落胆したような声を出すモブリットは
ため息を吐く。
「私は全然問題ないよ。
まぁモブリットは大変かもしれないけど。」
「……そうだな。
今まであんなにグイグイ
“応援”されることなかったから
正直何なんだって思ってる。」
「前の恋人の時は?」
思わずそう問いかけると、
モブリットの目の色が変わった。
「……ごめん。ミケから聞いた。
モブリットの二年前の恋人のこと。」
「ああ、そっか……
ごめん。気を遣わせたかな。」
「いや!本当にごめんなさい!!」
勢いよく頭を下げたことに驚いたのだろう。
モブリットの身体が小さく跳ねたのが、
視界の隅に映った。