第65章 眠れない夜は
「タオル濡らしてきた。
冷やした方がいいよ。
早いうちから対処してたら、
意外と次の日は大丈夫だから。」
俺も経験者だからね。
と、笑うモブリットに抱き着きたくて
どうしようもない衝動に駆られる。
それでも抱き着くと
この顔を見られてしまうし、
タオルで顔を隠したままだと
モブリットがまた濡れてしまうし、
悶々としながら身体を丸めていると、
また後ろから強く抱き寄せられ、
すかさず腰に回された手を握った。
「……正面向きたくないだろ?
今日はこのまま寝ようか。」
「モブリット、実は超能力者でしょ……?
何でそんなに私の考えてること、
次々当てるの?」
小さく吹き出す声が耳元で聞こえ、
ますます強く抱きしめられる。
「凛に対してはそうかもね。
何故か君の気持ちは、
手に取るように分かるんだよ。」
俺とちょっと似てるところがあるからかも、
と笑うモブリットに、
私はそんなに有能じゃない。
そうポツリと呟いた。