第62章 我儘でも、自分勝手でも、
「……嫉妬してくれているのか?」
「……」
図星だった。
自覚せずにここまでエルヴィンを
責め立ててしまったけど、
言われてすぐに確信していた。
それでも頷きたくなくて、頑なに口籠る。
「すまない。
喜ぶべき時じゃないのは分かっているが、
今すごく嬉しくなってしまったよ。」
「……妬いてるなんて言ってない。」
「顔に出てるよ。
相変わらず君は分かり易いから助かる。」
そう言って少し頬を緩めたエルヴィンは、
私の前に跪き、優しく手を取った。
「もう隠すのも面倒だから言ってしまうよ?」
エルヴィンの唇の感触が手の甲に伝わる。
上目遣いで見つめてくる
エルヴィンを目の前にして、
鼓動が煩くならない筈はなかった。