第58章 変態も束縛も
「……君の今の感情が、
心地良いものだったらいいな。」
何かを察したかのように、
背中を摩ってくれるエルヴィンの手は
大きく熱く、安心感だけが身体を包み込む。
「ありがとう……」
やっと言えた一言の後、
そっと顎元を引き寄せられ、
優しく唇が触れ合う。
きっと目は少し腫れているだろう。
泣き顔は出来るだけ見られたくない。
それでも今、エルヴィンが
どんな表情をしているのか見たくて
そっと目を開ける。
「凛……、」
何かを言いかけたエルヴィンの表情は
穏やかでこれ以上にないくらい優しく、
それでもどこか悲し気にも見えて、
思わず頬に手を当てた。
「……エルヴィン?」
「今、時間が止まってしまえばいいのに、
と思うのは束縛が過ぎると思うか?」
「思わない。
そのくらいの束縛なら、
いくらでもしてくれていいよ。」
即答すると、再びすぐに唇が重なる。
今まで抑えていた激しい感情を
ぶつけるかのように、
濃厚なキスが身体を一気に熱くさせた。