第58章 変態も束縛も
「……大丈夫。
私はどの兵団よりも、
この変人の集まった兵団が好きだよ。」
「憲兵団に手伝いに行って、
尚更感じたんだろう?」
「さすがエルヴィン。まさにその通り。」
「……あそこはこことは全く違うからね。
色んな意味で勉強になっただろう?」
「うん。お蔭で色々と弱みは握って来た。」
ククッと肩を震わせて笑うエルヴィンは、
私を抱く腕にますます力を入れる。
「本当に、
君は色んな意味で最高だよ。
だが、もう一人で憲兵団の手伝いになんて
行かせないからな。」
「何で?きっと役に立てるよ?」
「それでもダメだ。
憲兵団には見境のない輩が多い。
短期間の間手伝っていただけでも、
何人かに声をかけられただろう?」
「……そうだね。」
「もう心配になるようなことはやめてくれ。
君はここに必要な人間なんだ。」
エルヴィンの胸の中で、
ありがとう、と呟く。
こうして必要とされることが
こんなにも心躍ることなのは、
ここに来て初めて知ったことの一つだった。