第54章 ●視姦と焦燥感と安心感と
「抱きしめて欲しいなら、服を脱げ。」
「……自分で?」
「脱がしてやりたい気持ちは山々だが、」
リヴァイはこれ見よがしに右手を挙げ、
「生憎俺は手がこんな状態だ。」
と、見せつける様に唇を重ねてくる。
再び穏和なキスが繰り返され、
先を求めたい気持ちが限度を達しそうなとき、
また唇は遠退き、
私の感情を見透かしたようなリヴァイの瞳に
見据えられた。
「自分で脱げ。」
それだけ言われ、もう拒否する気も起きず、
自分で自分のシャツのボタンに手を掛けた。
……視姦されている。
そう思わずにはいられないほど、
リヴァイの視線は熱を帯びていた。
服を脱いでいるだけで、
こんなに淫らな気持ちになるのか。
不意に手を止めると、
優しい手付きで太腿を撫でられ、
それでも特に急かされる訳でもなく、
それがますます昂っていく気持ちに
拍車をかけた。