第52章 自由な選択を
「……何か変なこと言ったかな?」
「お前、俺たちにも
そんなこと言ったことねぇだろ。」
「……そうだったかな。」
「そうだった。」
エルヴィンに即答され、
思わず頬が緩む。
急にヤキモチのような感情を
ぶつけられたことに対して
自然と嬉しさが込み上げてくる。
「おい。笑う所じゃねぇよ。」
「ごめん……」
「モブリットのことは好きと
言い切れるということは、
やはりモブリットが今一番優勢ということか?」
「なら言うけど。」
エルヴィンの声に被せて、
少し声を上げて言ってみると
二人の動きが止まった。
「二人だって私に好きなんて
言ったことないからね。
逆に、モブリットには言われてるから。
別に私がモブリットに対して言っても
おかしくないんじゃないの?」
そう言い切ると、少しの沈黙が漂う。