第40章 好きの種類
「ほんと、どのお酒も美味しい……!」
凛はこの店オリジナルの
バーボンベースのカクテルを飲みながら
幸せそうに顔を綻ばす。
「だろ?バーテンの酒の入れ方が
他とは違うからな。」
「……でも、兵団のみんなが
調査に出てる間に
自分だけこんないい思いするのは悪いな。」
「何言ってんだよ。
基地で辛気臭い顔して待たれるより
良いに決まってんだろ。」
「そんなこと言ってもナイルは
調査兵団じゃないから説得力ない。」
「……それを言ったら
もう何も言えねぇだろうが。」
モブリットは久しぶりのブランデーを片手に、
二人の会話に耳を澄ましていた。
凛の言う通り、本当に美味しい。
バーテンの能力云々以前に、
高い酒だということが
素人の自分でも分かる。
酒は好きだが、あまり拘りはなく、
日頃のストレスを発散するために
酔う目的で飲んでいたようなところがあるから
こうして日頃から酒にお金を掛けて
楽しんでいる師団長は、
きっと肩書通りの人なんだろう。