第16章 ●悪趣味の嫉妬
「お前はこういうことを言われるのが、
相変わらず好きだな。」
俺に縋りながら必死で首を横に振る凛は、
もう相当限界が近いんだろう。
上擦った嬌声が、
自分の耳元で心地よく響いていた。
……俺は女の喘ぎ声だけで、
これだけ興奮できるのか。
ただ、これは凛に限っての
話だとしか思えない。
この世界に戻ってから
接待で貴族の女を抱いたことはあったが、
全くその気になれず、
一時は自分のものが機能するのか
それすらも怪しい状態にまでなった。
無心で女を抱こうとしたが、
どうしても凛との行為を思い出し、
それを振り払うかのように腰を振ったが、
快感を得るどころか
凛以外の女を抱いたことに対する
嫌悪感と不快感が
自分の中を支配する結果になった。