第151章 変わらぬ想い
マルガが部屋を出て、やっといつもの落ち着ける空間が出来上がる。
少しでも早く、噂が巡ればいい。
早く俺が凛以外の女に興味を持たない噂が巡り、こんな面倒な思いをせずに済むようになればいい。
凛とした最後の会話の中で、凛の記憶が他の女を好きになるのに邪魔になるのが嫌だと言われたことは、まだ鮮明に思い出せる。
あの時の凛の切なそうな顔も、脳裏に焼き付いていた。
お前がいなくなった後のことなんて考えられる訳がない、と返答した記憶があるが、本当にその通りだ。
凛のいない世界は、こんなにも面白くない。
それどころか、想像していた以上の凄まじい虚無感で、一人になる度頭を抱えたくなる程だ。
エルヴィンも一緒にタイムスリップしたことで、凛が向こうの世界でいきなり一人にならないことに関しては少し安心もした。
それにきっとエルヴィンはまたこっちの世界に戻って来られる。
凛にとっては少しの期間でも、気の許せる相手が側に居ることは、きっと精神面でプラスに働くだろう。
……だが、安心感より、明らかに嫉妬心の方が強い。
何故凛とタイムスリップした相手がエルヴィンだったのか。
何故自分じゃないのか。
今更考えても無駄なことばかり考えて、また眠れなくなる。
凛が去ってからまだ3日だ。
眠れない日々はこれからも暫く続くだろう。
憂鬱な気持ちばかりを抱えながら、部屋で一人塞ぎ込むのも気が滅入る。
あても無いままに、取り敢えず部屋を出た。