第151章 変わらぬ想い
その頃。
凛とエルヴィンが消えた後の兵団は、大勢の団員の士気を著しく降下させ、逆に一部の団員の“別の”士気を高めてもいた。
訓練を終えてからの、班会議。
会議はいつも通り進んでいたが、いつも通りではないことがただ一つ。
それに真っ先に気付いていたのは、オルオだった。
リヴァイが便所に行くと席を立ち、部屋を出た後、オルオの大きなため息が宙を舞う。
「……ペトラの言う通りだったんだな……」
「何の話よ?」
オルオの今にも消えそうな声量の呟きに、隣に居たペトラは気怠そうに聞き返した。
「リヴァイ兵長。
凛さんのこと好きだったんだな……」
「な、…え!?私、いつそんなこと言った!?」
「凛さんと飲んだ日だろ。
まぁ、あの時のペトラは相当酔ってたからな。」
ペトラの焦りしか感じられない問いには、エルドがあっさりと答える。
「オルオ、何で今のタイミングでそんなこと思ったんだ?」
グンタは会議書類から目を離し、オルオに問いかけた。
「お前ら気付いてないのか!?兵長の異変に!」
オルオはすかさず声を張り上げる。
「……まぁ、いつもより元気はない、よな。」
「……そりゃ、いつも幹部を支えてくれてた凛さんが兵団を去ったんだから。
ショックだったと思うわよ……
私だってすごくショックだったし……」
ペトラはそう言いながら、落ち込んだ表情を見せる。
そんなペトラを見て、グンタは優しくペトラの肩を叩いた。
そして、
「でも凛さん、故郷のお母さんが身体壊したんだろ?
落ち着いたら戻って来る可能性もある、って話だったし、絶対戻ってこない訳じゃないならそこまで」
そう言いかけたところでドアが開き、全員口を閉じると共に背筋を伸ばした。