第141章 事実の整理
「凛が一緒にタイムスリップしちゃったのは、生きる力を取り戻した上で、エルヴィンとリヴァイと一緒に、あの部屋で過ごしたことが原因だね。
エルヴィンたちだけを返すなら、凛は部屋の外から、ふすまに触れているだけで良かったんだよ。
その時に鼓動が重なれば、二人だけが元の世界に戻れた、ってこと。」
「なるほど……
あの時はまだ、雷が第一条件だと思っていたからな。」
「うん。だから予定より前に、凛も一緒にタイムスリップしちゃったんだね。」
「そうだったんだ……」
明らかになっていく事実に驚かされるばかりで、ロクな相槌も打てない。
エルヴィンは真剣な表情のまま、視線が資料に釘付けになっていた。
「それで、凛がこっちの世界に戻る方法。
これは凛の意識の問題もあるから、ちょっと心配だったんだよ。」
「意識の問題……?」
「そう。
凛がこっちの世界に戻るには、凛自身がエルヴィンたちの世界にタイムスリップした意味を見出し、その目的を果たすことが第一条件。
凛がこっちに戻って来られた、ってことは、何かを成し遂げたってことだと思うんだけど。
心当たりはある?」
「……うん、ある。」
範司の問いの後、すぐに返事をする。
その心当たりは、簡単に思い浮かんだ。
きっと、壁外調査で被害がゼロだったことが、私が達成した目的だろう。
私が成し遂げた訳ではないけど、その戦果に貢献出来たとは強く思えた。
ずっと自分がエルヴィンたちの世界にいる意味を見出せていなかったが、その戦果を聞いた瞬間、これが自分がここに居る意味だ、と気付いたような感覚があった。