第137章 大切な時間
リヴァイの、確実に愛情が籠っているキスを一心に受けとめながら、
もし自分がこの世界からいなくなる時が来たら……
その話をしなければいけないことが、脳裏を過っていた。
今この状況でそんな話はしたくもないし、考えたくもない。
それでも、もしも、自分がこの世界から突然いなくなったら。
その後の事を蔑ろにすることはできない。
モブリットにも言ったように、リヴァイにも“新しい相手”が必要になる時は来るだろう。
私のせいで、二の足を踏ませることは好ましくない。
この考えだって、今は自意識過剰だとは思えないくらいに、リヴァイからの強い愛情は伝わっていた。
自己満足でしかないかも知れない。
ただ、言っておくことで少しでも心の中を軽くしたいだけなのかも知れない。
それでも、リヴァイに幸せになって欲しい、それが一番の理由であることは確かだ。
こうして私に愛情を持つことができたのだから、これから先、他の誰かにその感情を持ち、育てることだって可能だろう。
「リヴァイ、」
少し唇が離れた隙に、言葉を漏らす。
行動を止めたリヴァイに抱き着いたまま、もう一度口を開いた。
「私も諦めたくない。ずっとここにいたい。
……それでも、もし私がいなくなったら、」
そこまで言ったところで、再び唇は重なり、強制的に言葉は口の中で留まった。