第137章 大切な時間
「お前が諦めたくなる気持ちもわかるし、こっちだって諦めることはいつでも出来る。
だが、早々にそんな決断を下す奴は、この兵団に誰もいねぇよ。」
凛は力強いリヴァイの声を聞きながら、鼓動の音に耳を澄ませるように、厚い胸板に耳を付けたまま、リヴァイの腰に手を回す。
「そりゃ、お前の身体次第なところもあるが……
今みたいに一日置きにでも目が覚める状態なら、まだ打つ手を考える暇くらいあるだろう?」
熱を帯びた胸板から聞こえる心音は、自分のものと同じくらい早く、冷静にこんな話ができている訳ではないことが伝わった。
「だからお前が先に諦めんじゃねぇよ。」
「……ごめんなさい。」
リヴァイの胸の中で頭を下げる。
リヴァイの言う通りだ。
先に部屋に来た、ミケもハンジも、モブリットも。
みんな私がここにいられる方法を、真剣に考えてくれていた。
私の身体のことを考えながらも、離れたくないと言ってくれた。
頬を掴まれ、強制的に顔を上げさせられると、一瞬切なそうなリヴァイの瞳が視界に飛び込み、思わず息を呑む。
初めて見る表情に、何と声を掛けようかと迷うより前に、唇が重なった。