第120章 嫉妬の続き
明後日に休日を控えたある日。
凛は仕事のペースを着々と上げていた。
休日に何か予定がある訳でもないが、
予定がないからと言って仕事をしていると
何処か虚しい気分になる。
取り敢えず仕事をせずに、
休日を楽しめるように画策しよう。
そう思い、資料を纏め終えて、
部屋を出たところで意外な人物と出くわした。
「イアン!」
あ、呼び捨てで良かったのか……?
と一瞬言葉を詰まらすが、
言い切ってしまったものはどうしようもない。
そのままイアンの側へ駆け寄る。
「凛。お疲れさま。」
私の心配を掻き消すように笑いかけられ、
安心感が込み上げる。
「調査兵団に用事なんて、珍しい……よね?」
「ああ。ちょっとピクシス司令に頼まれて
エルヴィン団長と話していたんだ。
でももう用事は終わったよ。」
「そっか……お疲れさま。」
「凛も仕事は終わり?」
「うん。
もうそろそろ切り上げようかな、と。」
「凛の噂、憲兵からも聞いたよ。
“調査兵団で働かせるのは勿体ない!
憲兵団で働くべきだ!”って。」
「……また余計な話を……」
ついため息を漏らすと、イアンの頬は緩んだ。