第116章 周囲の視線
ケイジはゲルガーの視線の先、
モブリットと凛の様子を垣間見る。
「可愛いって言うくらい、別にいいだろ!」
「別に悪いとは言わないが、
そりゃ叶わない恋だからな。」
「そんなこと分かってるが、
言いたくなるんだよ。」
「……まぁ、確かに凛は可愛いけど……」
ゲルガーの荒ぶる声を聞きながら、二人が楽しそうに会話をしている様子を見ていると、ゲルガーが毎度毎度凛にアピールしていることは、どうしても無駄に思えてくる。
「やっぱり副官とが一番似合ってるだろ。
あの二人が一緒に居ると、
何でかこっちも安心するよ。」
「分かってるって言ってんだろ!」
「ゲルガー、声がデカい。」
そう咎めてすぐ、
凛を見つめる副官の表情を見入った。
普段の訓練では、
あんな穏やかな表情、絶対見られない。
いや、いつも穏やかではあるが、
種類が違う。
凛を見る眼差しは、
あからさまに鮮やかな色を纏っていた。
「副官のあんな顔、
滅多と見られないからな。
本当に好きなんだろうなぁって思うよ。」
「お前、モブリットさんから
何か聞いてんのか?」
「……まぁ、ちょっとは。」
「は?やっぱり付き合ってるって話か?!」
「だからお前は声がデカいんだよ!」
ついゲルガーに釣られて声を荒げてしまい、
故意に小さく咳払いをした。