第115章 熱のせい
「……エルヴィン、
水、飲ませてるだけだからね?」
「………そうだったな。」
思わず舌を入れ込もうとして、
少し開いていた口を一旦閉じる。
うっかりしていた。
「良かった。
欲情できるくらいなら、まだマシかな。」
頬を緩めた凛は、ゆっくり立ち上がった。
枕元でタオルを濡らす凛の背中を
見つめていると
安心感も性的欲求も簡単に湧き上がって来て、
不意に凛の背中に指先を滑らせた。
「っ…、こら、病人。大人しくしてなさい。」
腕を布団の中に無理矢理しまわれ、
額から頬に掛けて、
濡れたタオルの冷たい感触が
心地よく肌に馴染む。
「……気持ち良い。」
「うん。全身拭きたいけど……
脱ぐとまたムラムラする?
私は取り敢えず寝室から出て行こうか。」
「いい、君が拭いてくれ。」
「……また簡単に欲情するのはやめてね。」
「そうならないように気を付けます。」
丁寧な口調で言ってみると、
凛は小さく吹き出した。