第115章 熱のせい
ベッドへ横にさせ、額に手を当てる。
……相当熱い。
いつからこの状態なんだろうか。
もし昨日からだったなら、
看病しようと思えばできたのに……
後悔の感情が渦巻きながら、
少し汗ばみ、乱れた前髪を横に分けた。
「結構熱ありそうだね。
ちゃんと水分摂ってる?」
「……あまり欲しくない……」
「欲しくなくても飲まないと。」
水差しからコップに水を注ぎ、
エルヴィンに差し出すが、
すぐに視線を逸らされる。
「……飲みたくなったら飲むよ。」
「ダメ。今飲んで。」
「今日は手厳しいな……」
「早く治したいんでしょ?言うこと聞いて。」
エルヴィンは少しだけ身体を起こすと、
渋々といった様子でコップを受け取るが、
それ以上行動が続かない。
「……水飲むのも気持ち悪い?」
「……いや、大丈夫。」
大丈夫、な顔ではない。
エルヴィンがコップを持つ手に、
自分の手を添え、
そのままコップの水を口に含んだ。