第115章 熱のせい
「エルヴィン、
昨日新しい下着買ったんだけど……
……エルヴィンに最初に見て欲しくて、」
呪文を唱え切る前に、乱暴にドアが開き、
部屋の中へ引きずり込まれた。
「……え、エルヴィン?」
「相変わらず君は無防備すぎるな。
他の兵士に聞かれていたらどうする?」
「ご、…ごめん。
一応いないことは確認したけど、」
「君がそんないやらしい言葉で
男を誘うと知られたらと思うと、気が気でない。
また誰かが強引に
君を犯そうとしたらどうするんだ?」
……そっちの心配か。
てっきりエルヴィンと私が
“そういう関係にある”ことがバレたらマズイ、
という意味で言い上げられているんだと
思っていた。
「エルヴィン、ごめん。
さっきのは冗談と言うか……
部屋に入る為の口実と言うか……」
「……ハンジの引き金か?」
「いや……ミケ、です。」
正直に答えてすぐ、
引き寄せられていた手は解放され、
大きなため息が頭上を通り抜けた。