第107章 言葉の力

「……今、何て言おうとしたの？」


「………いや、何も。」



びっくりした。

自分で自分の言おうとしたことに。


さすがに言えないし、言ってはいけない。

というか、こんなことを
言ってしまいそうになるのは
どういう意味なんだ？


混乱し始めた頭の中を整理したいが、
突然背中から暖かい体温に包まれ、
思考は簡単に停止した。




「凛。分かりやすすぎるんだけど。」


「……な、何が？」

「そんな反応してて、
俺が何も分からないと思ってるの？」



……これはバレてる。


モブリットは
私が何を言おうとしてしまったのか、
察している。

と言うか、いつだったかモブリットも
こんなタイミングで
言ってくれたことがある言葉だったから、
私の反応で勘付いたんだろう。




「ほら。言ってみて。
勘違いしない様に出来るだけ頑張るから。」


「……いや、さすがにダメでしょ……」

「それならこのまま、
後ろから色々するけどいい？」


ブラの間に指先が侵入しようとして来てすぐ、
その手を捕まえる。


「ま、待った！
そっちの方がダメだった！！」


自分の声量に驚いてすぐ、
口に手を当てて一旦深呼吸をした。