第105章 デートの行方
ジャンに連れられるがまま歩き、
広い芝生の広場がある公園に出る。
「おー!ピクニックっぽい!」
普段からあまり“壁”の存在を
意識する場面もなかったが、
こうして自分のいた世界と同じような公園を
目の当たりにすると、
ますます壁の中だということを忘れそうだ。
「そうなの?良かった。」
安堵の表情を見せたジャンは
近くのベンチに座る。
周囲には遊んでいる子どもや
それを見守る母親らしき人物が数人いるが、
公園の広さに対して人数は少ない方だった。
「ジャンもこういう場所、知ってるんだね。」
「まぁな。殆ど来たことないけど。」
「女の子ナンパした後、
ここに連れて来てあげたら良かったのに。」
「別にピクニック”することが目的で
ナンパしてた訳じゃねぇし。
そんな面倒な事しねぇよ。」
「いや、ここでワンクッション置いてから、
ホテルに連れ込む方が印象いいじゃん。
それに、その方が同意の上で
連れて行ける確率が高まると思わない?」
「……俺にナンパ術を説いてんのか?」
「そういう訳じゃないけど……
もっとうまいやり方絶対あったよなぁ
って思ってただけ。」
どこか不満気な視線を感じつつ、
ジャンの隣に腰を下ろした。