ハイスクールオーラバスター~希沙良・十九朗のある日の事件簿~
第1章 事件簿1
学校が終わって希沙良と十九朗は一緒に帰っていた。
他愛ない話をしていた2人の背後に、セーラー服の女子高生がそっと近づいてきた。
その手には銀色のナイフが握られている。
一瞬の隙をついて女子高生は十九朗の懐に飛び込んだ。
希:「十九朗!」
鈍い音がしたかと思うとすぐに女子高生は駆け出して行った。
十:「う・・・」
腹部を刺された十九朗は傷口を手で押さえている。
十:「希沙良・・・今の女子高生は妖の者に操られてた・・・」
希:「もういい!しゃべるな!」
希沙良は十九朗を抱きとめる。
十:「あのセーラー服は麻布の聖蘭女学園の制服だ。聖蘭といえば都内でも有数のお嬢様学校だ。家も麻布周辺の裕福な家庭だろう。あの学校はリボンのタイで学年が決まっている。赤いタイだったので2年生だ。指に特徴的なテープを巻いていたのでバレーボール部だろう。部活の後にはシトラス系のスプレーを愛用している--」
希:「もういいって言ってるだろ!」
十:「シャンプーは・・・ヴィダル・サスーン・・・」
十九朗はガクリとうなだれる。
希:「十九朗! いつもいつもお前なんでそんなに詳しいんだよ! オイ!」
希沙良の叫びがいつまでもこだましていた。
犯人がすぐに捕まったのは言うまでもない。