第10章 自分の言葉には責任を持ちましょう
小首をかしげてクレープをこちらへ差し出すさくら
その瞳は純粋そのもの。
銀時「えっと...お前さ」
『ん?』
あれ、何ですかこの子。
分かってないんですか?
さっきそれ食べてたよねお前。
それ俺が食べたらその...
銀時「...食っていいのか?」
一応残り少ない理性に任せて聞いておく。
『うん。いらないならいいけど』
今許可したね?OKしたね?
銀時「じゃ、遠慮なく...」
差し出されたクレープにかぶりつこうと顔を寄せる。
銀時「!?」
するとあと残り数センチの所で視界からクレープが消えた。
『やっ...やっぱダメ!』
驚いて顔を上げると、今更気づいたの
かさくらが顔を真っ赤にしてクレープを隠そうとしていた。
ダメだってお前その顔は…
銀時「何で?」
分かってっけど確認がてら聞いてみる。
『な、んでって...間接...キ...』
ふーん。分かってんじゃねぇか。
銀時「へぇ...?意識してんの?俺の事」
『...っ』
赤かった顔を更に赤らめるさくら。
涙で少し潤んだその瞳を見た時、
俺の理性は吹き飛んだ。
銀時「いいって言ったのはお前ェだろ?」
そう言うやいなや、さくらの腕を掴んでクレープにかぶりついた。
『な...っ』
銀時「ごちそーさん」
『〜っ!』
ニヤっと笑って見せると、ぶっ倒れるんじゃねーかと思うほど顔を赤くしたさくらは俺の足をゲシゲシと蹴った。
新八「あれ、何してるんですかさくらさん?」
すると、道の向こうから神楽と新八が戻ってきた。
銀時「んぁ?何でもねぇよ。神楽ー、そろそろタダのかき氷食いに行くぞ」
神楽「っシャア!気合い入れてくアル!」
そして何故か四股を踏む神楽。
銀時「ほら、モタモタしてっと置いてくぞ」
未だに呆然としていたさくらに振り返りながら声をかける。
『覚えてろ坂田ァ!』
おー、言われなくても忘れねぇよ。
さくらから貰ったクレープは、今まで食べたものの中で一番甘かった。